湯村温泉病院 公式ブログ

気管支喘息 甲府 呼吸器内科

 [ 呼吸器科 ]

院長の高橋です。

さらに「気管支喘息」について続けます。

喘息を特徴づけるkeyword1 「可逆性」
喘息のかたは夜間や早朝苦しくて横になれないほどなのに、日中はほぼ無症状、ということが多いと思います。症状がつづくときでも吸入や点滴がかなり有効です。これが「可逆性」すなわちもとにもどるということです。
客観的な評価法としてはスパイログラムが用いられます。多くのかたは「肺活量の検査」として認識している「息を大きく吸って~吐いて~」のあの検査です。
最初の一秒間で吐き出せる空気の量を一秒量、それが肺活量の何パーセントに相当するかを一秒率といいます。一秒率が70%未満の場合閉塞性呼吸障害といいます。気道が狭くなって閉じやすいことをあらわしています。典型的な喘息では閉塞性障害をしめしており、さらに気管支拡張剤を投与すると、一秒量が12%以上、絶対量で200ml以上増加した場合「可逆性あり」と判定され、喘息診断の大きな根拠となります。

しかしながら、外来受診時すでにゼーゼーがおさまっているかたにスパイログラムを行ってみると、閉塞性障害を認めないことが多いのです。H20年の厚労省の研究班の報告(「気管支喘息の早期診断基準の提言」)においても最終的に喘息と診断されたかたでも67%で閉塞性肺障害をみとめず、可逆性検査陽性率も約半数であり、初期診断に適した基準ではない、とされています。
やはり喘息を客観的に評価するのはむずかしいのでしょうか。

気管支喘息 甲府 湯村温泉病院

 [ 呼吸器科 ]

院長の高橋です。

「気管支喘息」の続きです。

前回お示しした喘息の定義を私なりにわかりやすくしてみます。

「喘息とは気道が狭くなるため、ゼーゼーしたり、咳がでたり、苦しくなったりする病気です。治療をすれば、ときには自然に元にもどります(可逆性)。気道の炎症が続いているため、過敏になっており、いろいろな刺激によって気道が狭くなるため症状が起きます。炎症には好酸球、T細胞、マスト細胞などの細胞やそれぞれが出す因子が関与しています。そういった炎症を放っておくと気道の構造変化(リモデリング)が起き、治療をしても元に戻りにくくなってしまいます。」

少しはわかりやすくなったでしょうか。

喘息にはほかの疾患と違い、診断基準というものがありません。
たとえば糖尿病でしたら空腹時血糖126以上、HbA1c6.5以上であれば糖尿病と診断されますが、喘息の場合、検査値やいくつかの症状がそろえば喘息と言い切れる、といった基準がないのです。ここが診断をやっかいにしている所以でもあります。

定義のなかで重要なkeywordとして、「可逆性」「気道過敏性」「炎症」「リモデリング」が挙げられます。次回からはこれらについてさらに詳しく記したいと思います。

気管支喘息 甲府 湯村温泉病院

 [ 呼吸器科 ]

院長の高橋です。

気管支喘息について、さらに詳しく述べさせていただきます。

“Asthma is like love.” ある先生が講演のなかでこのフレーズを使っていました。
原典はなんなのかネットで調べてみたところ、アメリカの総合病院の呼吸器科のサイトなどでちらほらみかけました。欧米の呼吸器科医のなかでは慣用的に使われるフレーズのようです。

Everyone knows what it is, but no one can agree its definition. と続きます。

「喘息とは愛のようなもの。誰もが知っているけど、それぞれ思い描いているものは違っている。」というような意味だと思います。

次に国際的に使われている喘息の定義、というものをお示しします。

“気道の慢性炎症と種々の程度の気道狭窄と気道過敏性の亢進、そして臨床的には繰り返し起こる咳、喘鳴、呼吸困難によって特徴づけられる。気道狭窄は、自然に、あるいは治療により可逆性を示す。気道炎症には好酸球、T細胞、マスト細胞などの炎症細胞、気道上皮細胞、線維芽細胞をはじめとする気道構成細胞、および種々の液性因子が関与する。持続する気道炎症は、気道傷害とそれに引き続く気道構造の変化(リモデリング)を惹起し、非可逆性の気流制限をもたらし、気道過敏性を亢進させる。”

この定義では逆に全体像がわかりにくく感じませんか?

気管支喘息 湯村温泉病院 甲府

 [ 呼吸器科 ]

院長の高橋です。

咳が長引いているのにレントゲン上異常をみとめないとき、忘れてはならないのが気管支喘息です。

咳の持続期間が3週間未満の場合、原因としては感染症が多いのですが、3週を超える「遷延性咳嗽」の場合感染症以外の原因が増えてきて、8週を超える「慢性咳嗽」となると、むしろ感染症は少ない、と考えられています。

さらに「慢性咳嗽」の原因で一番多いのが気管支喘息と考えられており、近年では慢性咳嗽の5割以上が喘息である、という報告もあります。

気管支喘息といいますと、一般的には息をはくときゼーゼー、ヒューヒューという音が鳴り、呼吸が苦しくなる病気、と認識されていると思いますが、調子がいいときは呼吸機能が正常にもどるのが喘息の定義でもあり、クリニック受診時にはすでにおさまっていることが多いのです。

さらに、近年咳だけが唯一の症状である喘息(咳喘息)という概念も広がってきており、喘息の診断は決して簡単なものではありません。

まずは丹念に聴診をし、強く息をはいたときに喘息特有の異常音がするかどうか確認します。また、咳のでる時間帯(喘息では通常夜間)、やアレルギーの有無、いままでも風邪をひいたときなどに咳がつづいたことがあるか、などの問診が重要となります。

長引く咳 湯村温泉病院 甲府

 [ 呼吸器科 ]

院長の高橋です。

「長引く咳」の続きです。

咳の持続期間が3週未満で、年齢が若く、最初に鼻水や微熱などの感冒症状をともなっており、すでに咳のピークを越えていれば、感染後咳嗽(かぜに続発する咳)と考え、いわゆる咳止めだけで様子をみることとなります。
咳が悪くなる傾向であり、かなり激しい場合(嘔吐をともなうようなこともあり)、百日咳やマイコプラズマ、肺炎クラミジア(クラミドフィラ)感染といった特殊な感染症が鑑別に挙がります。これらの診断は一筋縄ではいかない面があり、別の機会に記載したいと思います。

来院時発熱があり、聴診上吸気時に異常音を聴取する場合、肺炎を考えレントゲンをとります。そのほか高齢者、喫煙者、癌の既往のある方、糖尿病などの持病があるかたなどは、肺炎のみならず肺癌、結核などのリスクもあるため、肺音が正常であってもレントゲン撮影をお勧めします。

さて、レントゲンで異常がなく、感染症でもなさそうな場合、必ず念頭におかなくては気管支喘息です。次回からは当院での喘息診療に関して述べさせていただきます。

長引く咳 湯村温泉病院 甲府

 [ 呼吸器科 ]

院長のの高橋です。

さて、「長引く咳」というのはいったいどのくらいの期間咳がつづくことなのでしょうか。

私が所属する日本呼吸器学会から「咳嗽に関するガイドライン」が発行されており、それに基づきますと、3週間以上続く咳を遷延性咳嗽、8週以上続く咳を慢性咳嗽と定義されております。
3週未満は急性咳嗽と定義され、ガイドライン上は「長引く」には分類されておりません。3週以内の場合、原因も普通感冒頻度が高く、改善傾向であれば通常の咳止めで観察することが勧められております。

さりながら、通常1週間も咳が続けば、体もつらいし何か特殊なことがおきているのではないか、と不安になってしまうのが道理だと思います。3週持続していないから、喘息やその他の疾患ではない、ということはいえず、1週目に受診された当初から喘息やその他の大きな病気、ということもあり得るわけです。

そこで初診時は、まず詳細な問診を含めた診察をさせていただき、必要に応じてレントゲン撮影や血液検査をおこなうこととなります。
3週未満の咳であれば、確率的には感冒に続発した咳の可能性が高いので、過剰診療にならないように気をつけてはおりますが、肺がん、肺炎、結核といったレントゲンに写る疾患は、見逃すと容易に悪化するため、レントゲン撮影をおすすめする機会が多くなる傾向はあると思います。

湯村温泉病院 甲府 呼吸器科

 [ 呼吸器科 ]

院長の高橋です。

当院は回復期および療養病床を有しており、脳梗塞や骨折、その他急性疾患の治療を他院でおこなったあとのリハビリを主な業務として病棟運営をおこなっています。
一方私自身は長年呼吸器専門医として大学や総合病院に勤務しておりましたので、呼吸器を中心として内科診療も外来でおこなっております。
今回は本ブログを通して私の外来診療のご紹介をさせていただきたいと思います。

さて、みなさん呼吸器科というとどんな病気を思い浮かべるでしょうか。専門医として総合病院に勤務していた頃は肺がんや肺炎、重度の慢性閉塞性肺疾患、その他酸素吸入が必要な呼吸不全をともなう種々の疾患の診療にあたることが多かったと思います。感染症専門医がいない場合、発熱患者はとりあえず呼吸器科、という施設もありました。

一方外来診療で一番多いのは「長引く咳」です。多くは感冒に続発するいわゆる「感染後咳嗽」なのですが、長引く場合「気管支喘息」が存在している確率があがってきます。そのほか悪性腫瘍、結核などの感染症、アレルギー性鼻炎など耳鼻科疾患、心疾患、逆流性食道炎のような消化器疾患、など咳の原因は多岐にわたっております。
今後当院においてこういった疾患に対してどのように診断、治療をおこなってゆくのかご紹介してまいりたいと思います。