湯村温泉病院 公式ブログ

咳喘息 甲府 湯村温泉病院

 [ 呼吸器科 ]

院長の高橋です。

「咳喘息」の続きです。

「日本呼吸器学会 咳に関するガイドライン第2版」に示されている咳喘息の診断基準をお示しします。

以下の1~2のすべてを満たす
1、 喘鳴を伴わない咳嗽が8週間(3週間)以上持続
聴診上もwheeze(喘鳴)をみとめない。
2、 気管支拡張剤(β刺激薬またはテオフィリン製剤)が有効

本来気道過敏性検査を行いたいところですが、限られた施設でしか行えないため、上記のようなシンプルな診断基準となったようです。
ただし、咳が3週間程度の場合、確率的に感染症による咳嗽であることが多く(上記ガイドラインP7 図Ⅲ―1参照)、気管支拡張剤投与するタイミングと感染症が治るタイミングがたまたま同じである可能性も否めません。

問題なのは、咳喘息はあくまでも気管支喘息の亜型であり、慢性気道炎症があり、リモデリング(後述)もおこすため、治療継続しないと30%ほどは典型的な喘息に移行してしまうといわれている点です。ひとたび咳喘息と診断したら1~2年の継続的治療が勧められるのですが、感染性咳嗽のかたを咳喘息と診断し、長期の治療を強いて、時間的、経済的負担をおかけすることは避けなければなりません。

ここで再度ガイドラインに立ち戻りますと、「末梢血、喀痰好酸球増多、呼気中NO濃度高値をみとめることがある」と記されています。
この呼気中NO(一酸化窒素)濃度測定が当院における喘息診断の大きな武器となっています。